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秘めた花は彼の腕の中で咲く
第16章 手を伸ばしても届かない存在
男達は薄ら笑いを浮かべるだけで、電話を掛ける素振りも見せない。
痺れが少しずつ取れてきたのか、手足の感覚が戻ってきて指先が動かせるようになっていた。
「500万なら用意して返すから、もうしばらく待って下さい」
「お嬢ちゃん、俺達は十分待ったんだよ。普通に金返してりゃこんな事しなかったさ。でも向こうは借りた金払わずに逃げて、金貸しを馬鹿にする態度とるんなら、こっちにも考えがあるってのを教えてやるんだよ」
目を見開いて呻くように言葉を発する姿に、恐怖から身体が震え出す。
「だからって、誘拐してタダで済むと思ってるの!?」
「言っただろ、こっちにも考えがあるってな…俺達お金を回収する為だったら何でもするんだよ」
もう1人の、赤いシャツの男がシートを倒して後部座席に移ってきたので、後退りして距離を取った。
「私をどうするんですか…身代金でも要求するんですか?」
「アホか。君には今からデリヘル嬢として、客の所に行くんだよ」
「……はぁ!?」
「うちは風俗店の経営もやっててよ。お得意様の金持ちに借金持ちの女の子を派遣してんの」