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秘めた花は彼の腕の中で咲く
第16章 手を伸ばしても届かない存在
「しっかし、お前も惜しい事したなー。もうちょっとで金持ちになれたのによー」
「……」
借金があるのにお金持ちになれるわけ無いのに…
フンと鼻で笑うと、男はスマホの画面を眼前に晒してきた。
「ま、こんなハイクラスの男だと、お前みたいな安い女は遊ぶ程度で丁度良かったのかもなー」
画面に映る人物を見て、思わず目を見開いてしまった。
繁正さんと親会社の社長が和かな表情で歩いているのが映っていたから…
「何、これ…」
「なんだお前、こいつの正体知らなかったのか?こいつの父親は社長だよ」
「社長……?」
繁正さんのお父さんは社長…?
でも、繁正さんと社長の名字は違う、どういう事…?
思考が繋がらずに黙ってしまったわたしを見て、男はククっと笑った。
「こいつの本名は水嶋 繁正。水嶋興産の社長の息子だよ」
「社長の息子……」
「変に纏わり付かれても面倒だったから、お前には何も言わなかったんだな」