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秘めた花は彼の腕の中で咲く
第16章 手を伸ばしても届かない存在

「自分から白状するか…返済させるのにもっと方法は無かったのか?」
「待った末に金借りたババアがそいつを売ったから、代わりに返済してもらうんだよ。関係ない奴は引っ込んでろ」
「いや、彼女は連れて帰る。本人の合意も無く無理矢理連れ去るのは犯罪だよ。仕事熱心なのはいいけど、関係の無い彼女を傷付けるのは許さない」

横を通り過ぎると、背後から車のドアを開ける音が聞こえ、男が鉄パイプを握っていた。
もしかして車に隠してたの!?

辺りを見回してもまだ警察も来てないし、通行人も皆怖がって近づこうとしない。

「金回収しねえと上からシメられんだ…こいつは逃さねえぞ…」

何やらブツブツ言いながら勢い良くこちらに走ってきた。
繁正さんは私を抱き上げていた為反応が遅れ、男が傍まで近付いて鉄パイプを振り上げた。

「危ない!」

繁正さんの腕の中で暴れて力が抜けた瞬間、繁正さんを突き飛ばした。

繁正さんが私の事をよく思ってなくても、私はあなたを守りたい…
だから、私がいくら傷付いたっていい…

ガッ……

「あっ……」
「舞花!!」



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