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秘めた花は彼の腕の中で咲く
第16章 手を伸ばしても届かない存在

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「い、ううっ…」

頭を何度も打ち付けられるような痛みが襲う…
ぼやけた視界の先に繁正さんが私の顔を覗き込んでいるのが映る。

「しげ、まささん…」
「舞花、良かった…起きてくれて…」

苦しそうに顔を歪め、右手を包み込む。
握り返したいのに、力が入らない…

「繁正さん、私…」

どうして副業を会社にバラしたのか、どうしてあんな別れのメールを送っておいてまた私の前に現れたのか、社長の息子だという事を黙っていたのか…

繁正さんがいる今、聞きたい事がいっぱいあるのに、意識が遠のいていく…

「大丈夫。今はゆっくり寝てなさい。もう何も起こらないから」
「ん…繁正さん、手繋いでて…離さ、ないで…」
「君はもう1人じゃない。皆が守ってくれるから…」

薄れゆく意識の中で、辛うじて残っていた右手の温もりが冷めていく…

お願い、離さないで…
話をする前に私の前から居なくならないで…



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