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秘めた花は彼の腕の中で咲く
第16章 手を伸ばしても届かない存在
「検査の結果、身体への異常、脳への損傷はありませんでした。数日で退院出来ますよ」
「そうですか、ありがとうございます」
病室に戻ると、姉から今回の事で少し叱られた。
「舞花、どうして伯母さんから借金肩代わりさせられそうな事教えてくれなかったの?」
「ごめんなさい。伯父さんが伯母さんを何とかしてくれるって過信しちゃって、報告してなかった」
「それに、仕事辞めたって…」
「それは伯父さんへの返済で副業をしてたのが会社にバレちゃったから…次の仕事もすぐ見つけられると思って…」
言い訳をしている内に姉の表情が曇っていくのが分かり、声が小さくなる…
「舞花、私ってそんなに頼りない?」
「ち、違うよ!お姉ちゃんに心配掛けたくなかったの。忙しい中私の事で余計な手を煩わせたくなかったの…」
でも、結局今回の事で姉に迷惑を掛けてしまった…
自責の念にかられ、瞼をギュッと閉じると、抱き締められた。
「バカだな…舞花にもっと頼ってもらいたいの。迷惑だなんて思ってないから。舞花にとって頼れる家族は私だけなんだよ」