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秘めた花は彼の腕の中で咲く
第16章 手を伸ばしても届かない存在
「家族」と口にして、腕の力を緩めて頭を撫でてくれた。
母が居るのに、姉の口から母の話題が出ないという事は、私の事を気にも留めてない態度に腹を立てたのだろう…
「私にとっても、家族は舞花と智くんだけ…大切な人には傷付いて欲しくないから、何かあれば話して…いつでも待ってるから…」
頭上から鼻をすする音が聞こえる…
姉の胸に顔を埋め、初めて甘えてみる。
頑なだった気持ちが解れていく…
無言で抱き合っていると、扉がノックされ、伯父が入ってきた。
私の顔を見るなり、膝を付いて頭を下げようとしたので、姉と2人で止めに入った。
「舞花…清美の事で迷惑をかけて本当に申し訳ない…清美がもっとしっかりしていれば…」
「伯父さん、頭を上げて。私だって伯父さんの忠告を聞かなかったから、闇金に酷い目に遭わされて…忠告を守れなくてごめんなさい…」
「謝る必要は無い。もう舞花に危害が及ぶ事は無い!」