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秘めた花は彼の腕の中で咲く
第16章 手を伸ばしても届かない存在
私としては遠慮して量を減らしたつもりだったけど、姉夫婦に乗せられて普段より多く食事をいただいた。
この調子で食べてたら怪我が治る前に太っちゃいそう…
翌日から姉夫婦が仕事に向かってから、部屋の掃除や洗濯を少しずつやらせてもらうようになった。
家事をし終えて時間が余ると、求人サイトを覗いては良さそうな会社をチェックしていた。
姉夫婦の部屋に泊まって4日目、ようやく傷が塞がり痛みが無くなったので、自分のマンションに帰ろうとしたら、姉に止められた。
「ちょっと、まだ体調は万全じゃないんだから、ここに居なさいって」
「そんなわけにはいかないよ。2人は新婚さんなのに、いつまでも私が居ると邪魔でしょ?」
「邪魔じゃない!」
「帰る」「帰さない」と姉と押し問答していると、インターホンが鳴った。
「あっ、舞花はここで待ってて…」
モニターで訪問した人を確認すると玄関へと向かい「どうぞ」とその人を招き入れた。
部屋に入れたって事はお客さんかな…?
「部屋に戻っ……ど、うしてここに…」
「ようやく迎えに来れた…ずっと待たせてごめん、舞花…」
「繁正さん……」