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秘めた花は彼の腕の中で咲く
第17章 2人のこれから
突然繁正さんが大声を出したので、呆然としたまま繁正さんの顔を見た。
繁正さんの顔には怒りは一切無く、真摯な眼差しで私を見ていた。
手の平に爪が食い込むほど強く握り締めていた手に、繁正さんの手が重なる。
「君に遊びだと思わせて追い詰めてしまったのは、俺が社長の息子だと伝えず、散々男装の写真で脅迫して関係を続けさせてしまったからだな…ごめん」
「繁正さん…」
「今から全部説明するから聞いて欲しい…」
昂っていた気持ちが収まり、握り込んでいた手の力をそっと緩めた。
本当に私を別れを告げた人なのだろうか…
「どうして私を辞めさせるようなメールを送ったんですか?」
「あれは俺が送ったメールじゃない」
「だって、社内メールで繁正さんから送られてきたんですよ!?パスワードが無ければ、メールも送れないじゃないですか」
すると、繁正さんは文字が書かれた紙と写真を1枚ずつ並べた。
紙には私に送ってきたメールの文言が書かれており、写真に写る人は篠宮さんの後任で繁正さんのサポートに来た女性だった。