この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
秘めた花は彼の腕の中で咲く
第4章 弱い部分を見せてもいいんじゃない?
「ところで、何で男装してまでバーで働いてるんだ?」
いきなりの質問に、スプーンを口に突っ込んだまま、彼を凝視した。
「あの店はボーイズバーじゃないだろ?男装する意味あるのか?」
「……私、昼は会社員なんですけど、そこダブルワーク禁止なんです」
「会社にバレないため?」
「はい…」
会社にバレたらクビになってしまう。
「規則を破ってまで働くのはどうしてだ?」
「借金があるんです」
「いくら?」
「…100万」
「大学を卒業して働き始めた頃に父親が亡くなって、その時に父が借金をしてるのが判明して。姉はその時病気になってお金が払える状態じゃなくて、母も姉に付きっきりで、私しか返せないんだって働いて返してたんです。
ただ、半年経った頃から、いじめられるようになって、上からもセクハラ紛いな事をされて、誰かに言っても『男ウケするような格好をしてる君が悪い』って私が悪いように言われて…
借金と会社での扱いにずっと我慢してたんですけど、4ヶ月前に倒れちゃったんです」