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秘めた花は彼の腕の中で咲く
第7章 嫌な事は全部、俺が忘れさせる
肩を抱いて、あやすように優しく背中や肩を叩いてくれた。
気持ちが落ち着くと、床に散らばった一緒に湯呑みを拾ってくれた。
「今度は指を切らないようにな…」
「分かってます」
ムッとして言い返すと、フッと笑ったまま手を動かす。
全て拾い終えると、割れた湯呑みが載ったお盆を渡してくれた。
「今度は気を付けなよ」
「ありがとうございました。あと、ごめんなさい…せっかくのスーツが…後でクリーニング代を渡しますんで」
「いいよ。新しいの買う予定が早まっただけだから」
「じゃあ」と手を振って去っていく繁正さんの背中を見ながら頭を深く下げた。
「あ、合コンの事」
…は別に言わなくてもいいか。
「ああ…」
2度目は細心の注意を払いながら会議室まで向かい、何とかお茶を用意出来た。
お茶出しだけで何でこんなに疲れなきゃいけないの…
「舞ちゃん大丈夫?」
「んー、今日は何かに取り憑かれてるのかな?」
「ほらもうお昼だよ?美味しいパスタでも食べて、気持ち切り替えよ」
「う、うん………アレ?」
鞄を探るが、目的の物が無い…
机の上に中身をぶちまけるも、アレが見当たらない…
「……舞ちゃん?」
「…財布忘れた……」