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秘めた花は彼の腕の中で咲く
第7章 嫌な事は全部、俺が忘れさせる
「私は占いとか信じてないんですけど、今日凄く運勢悪くて失敗も多かったから、信じた方が良いのかなって…」
繁正さんは水をグイッと飲み干すと、私をジッと見てきた。
「良い時は信じる、だけど悪い時は信じない」
「…良い時だけ信じるんですか?」
「そう。いい加減に捉えてもいいんじゃない?信じすぎちゃうと疲れると思うよ」
言い終わると、少し表情を曇らせた。
「…いい加減な男だって、がっかりした?」
「いえ、そんな事でがっかりしません!」
「ははっ、そんな大っきな声出さなくても」
「す、すいません…」
「それより、そろそろすき焼き食べようか?」
橋を手に持つと、慣れた手つきでお肉を焼いていく。
「普段料理はされないって言ってましたけど…」
「鍋だけね。こうやって作るのは大丈夫なんだよ」
野菜も焼いて割り下を流し込むと、甘い匂いが漂う。
「さっきの話だけど、その占いって『おはようテレビ』のやつでしょ?」
「そうです。何で分かったんですか?」
「俺も毎朝観てるから」