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第9章 涼子

廊下にいたアレは？美人じゃないか？
あのお○んこでいいよ。
アレはダメだ。
分かったよ。でも良いモノが入ったらちょうだいよ。
拗ねた様子で息子らしき男は、また付き人の女性の手を引きながら、女の上半身にぶら下がる乳房を揉みながら出ていった。
あの女性も家庭に帰ったら良き妻であり、良き母であろうに。
ここではただの道具扱いされている。
あのバカ息子がッ。私の怒りが治らないわ。
よしッ。
私は息子が入っていった部屋に殴り込みするようにノックせずに入った。すると部屋内に連れ込んだ付き人の女性を四つん這いにさせ、激しくバックしている。
あなたねぇ。学生の分際で大人の女性捕まえて人をモノみたいに！
付き人の女性は、今は妻でも母でもない。
ただのメスであり女性の顔になっている。
〝違う。私は間違っていた“
私は女性が今は自分を女として扱ってくれて抱いてくれている男に服従しているに過ぎないと実感した。
家に帰ったら、それこそただの家政婦扱いされているだけなんだわ。
おそらく全くの別人の顔をしているんだろう。
主婦にありがちの落とし穴だ。
この人はMなんだわ。
息子は女との汗まみれの肉欲の発散をぶつけるように絡み合っていて、女もそれに応えるように男に合わせる。
2人は私の声に耳を傾けることなく没頭している。
部屋をあとにした私は私の現在の生活を振り返っていた。
私は女なのかしら？
今まで女だったのかしら？
生活に流されてそれを忘れていやしないか？
たぶん、官僚が言いたかったのはそれなんじゃないだろうか。
打ちのめされた私は店長に報告の電話を入れていた。
ええ。ええ。そうです。ダメだと言われました。
私の方に問題があったので仕方ありません。
失礼な言い方かもしれませんが、
先方さんには落ち度は全くございません。
店長の顔を汚すような事はしていませんので、安心してください。
また良いクチがありましたら紹介お願いします。
アレはアレで双方がお互いを必要としていて理に適っているような気がする。
そう考えた方が私の気持ちもごまかせられる。
その翌日のことだ。私の姿が目撃されなくなったのは。
私はどうなってもいいが、娘の美佐子を残してきた事が気がかりで他ならない。
あの子の父親が残した借金があの子の細い肩に重圧のようにのしかかる。
あれから半年が経とうとしていた。
〝旦那を殺したいほど憎い“