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弥輿(みこし)
第5章 久遠神社・柊修
普段通りに奥宮で朝を向かえ、日の始めに当たる御神体様の掃除を始めようとした途端、珍しい事に奥社の電話が鳴った。
「……弥の巫女が……見付かった……」
『当主が巫女定めをし、弥の痣も確認している
当面……いや違うな、奥宮で弥の巫女を飼い殺し、それが当主が望むもの』
電話の相手は宗方一昭。
俺と一昭は同年代で、子供の頃は一緒に居る事が多かった。
だが宗方と柊、宗家の家系と神主の家系、歳が上がれば上がる程、俺と一昭の距離は広がり、今は年に数回程度ですか、一昭がこの奥宮を訪ねて来るのは。
そんな一昭からの直接連絡、いえ違う話の内容から、一昭に電話をさせたのは隼様、弥の巫女を発見されたのは喜ばしい事でしょうが、裏を返せば弥の巫女は隠し奉る存在。
だからこその久遠神社の奥宮、弥の巫女と御神体様を秘匿する為だけにある社。
神社としてならば表宮で全てが事足り、俺も日中は表宮に居る事が多い。
『……聞いてるか修?』
「……勿論……
それで弥の巫女を何時此方に??」
『今宗家の使用人達が身を清めている、それが済めば直ぐに宗家から久遠神社に移すつもりだそうだ』
「清め……という事は、隼様が巫女定めを行った」
『相当に責められたようで、何をしても目を覚まさない
当主の絶倫話は有名だからな、散々責められたんだろう
それに関係する話だが、当主が修に淫肛の調整をすれと言っていた』
「調整……それは久遠神社の神主として、弥の巫女たらんとする柊家の秘技
……俺は……」
常に弥の巫女と共にあった柊家、通常の神主としての勤めの外に、裏の勤めも存在する。
それは……犯す事無く弥の巫女を育て上げる秘技、俺は思春期が始まる辺りから、先代の神主……つまり父に、この技を仕込まれた。
正直に言えば気が進まない、犯す事は無くとも女性を性的道具に仕立てるあの技。
そして俺が産まれた年に、最後の弥の巫女は失踪し、この秘技を一生使う事なく終わるとさえ思っていた。
それなのに弥の巫女が顕れるとは……俺は出来るのだろうか? 男を喜ばせる性具を作る秘技を??
『お前があれを嫌っているのは知っている、だがな久遠村に居る限り当主の意見には逆らえん、それも理解しているな修?』
「理解はしている、久遠神社の神主としての勤めは果たします……それで良いでしょう??」
久遠村に居る限り
その言葉が俺に重くのし掛かる。