この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
弥輿(みこし)
第5章 久遠神社・柊修
『耐えるしか無い、俺もお前も、どの道久遠村からは抜け出せないんだ、本心を押し殺し従うしか無いんだよ……と、本宅でこの話も不味いか、全く面倒だな』
「本宅に……そうですか……
では此方は弥の巫女を迎える準備をします……全ての本心を隠して」
『ああ……あまり心病むなよ修』
「……………」
受話器を置き、俺は半ば機械的のように動き出す。
巫女の御座所は一番広い大広間で十分、寝具と巫女装束の着替え、そして代々の弥の巫女が使ったという湯殿の掃除。
湯殿は半露天風呂で御神体様と対になるもの、湯殿は女陰に刺すとも言い、どちらも大切に守られて来た。
「後は……」
奥社の奥の奥、社務所にある小さな部屋、そこは御神体様や弥の巫女に施す淫具が所狭しと納められている場所。
「淫肛と言っていた
という事は必用なのは菊門を拡張し解す張り型と、それを固定する道具、そして秘薬は一番効果が低い物
本当に此を使う日が来るなんて……」
神主は良い、先代から後を継いで神主になった時から、この久遠神社に縛られる事は覚悟した。
でも裏の神主の勤めは、俺は今でも忌み嫌う、こんなのは男の勝手な理想の世界、巫女と崇め巫女を犯す、それが何れだけ理不尽か、少し考えれば分かる筈。
「男というのは、一度火が点けば止まらない生き物」
淫具を桐の箱に納めながら、俺自身も例外では無いと思ってしまう。
それこそ修行時代、秘技という名で何れだけの女性を責め、何れだけの女性を犯した事か……
今更の考えと分かっていても、過去の後悔は消えるものでもない。
そして代変わりしてからは、俺は女性を犯していない、穏和な神主……それが今の俺の姿、それなのに!
「思いはともかく動かなくてはいけない」
久遠神社と宗方宗家は、互いに広い敷地ながらも隣同士。
身を清めたら直ぐに運ぶと言ったのを考えれは、時間はそう長くはなく、俺は弥の巫女を迎え入れる為に、奥宮から出て表宮への階段を下る事にした。