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弥輿(みこし)
第7章 優しく淫らな開発
柊さんと1日2日と一緒に過ごしている内に気が付いた。
先ずこの奥宮は柊さん1人しか居ない事、そして初日に日の光だと思ったのは、日に近い大型ライトで、1日の時間に合わせて光量が変化する。
つまり奥宮の建物内に居れば、普通に昼夜を感じる事が出来るようになっていた。
此は全て宗方の方が設置した物らしい、洞窟の中なのに洞窟だと感じさせない大掛かりな仕掛け。
何れだけこの奥宮を大切にし、最先端の技術を導入しているのか、知った私は少し呆れ気味。
そして毎日の必要品も、やっぱり宗方の方がこの奥宮に届けて来る。
だから柊さんが山の中腹にある表宮に行く以外は、奥宮から外に出る事は殆ど無い……此は柊さんからの話。
「少しは奥社に慣れましたか愛海さん?」
「至れり尽くせりですよね此処って、外に出れない以外は、何不自由する事が無いなんて」
「自炊ですけどね」
私はともかく、柊さんの1日は忙しい。
本人も言っているけれど3食自炊、それに朝から奥宮の掃除に手入れ、更にあの扉の前で祝詞(ノリト)を上げ、御神体の手入れも毎日。
さしてやる事が無い私は、柊さんに「手伝える事は?」と聞いたんだけど、柊さんにやんわりと断られた。
弥の巫女の手を煩わせる事でも無いと、そして手伝いよりも重要な事があるから、そちらに集中した方が良いって、私的には良い予感はしない話だよねこれは。
こうして夕方過ぎ迄は何事も無く普通で、やる事が無い私は奥社から奥宮を散歩して歩くのが癖になりそう。
そして夕食なんだけど、柊さんの作る料理はどれも美味しいのよ、私も一人暮らしだったのに男性に料理で負けている、流石に此は少し落ち込みそうだわ。
「そう言えば、神社なのに肉も魚も良いんですね?」
「精進料理という考えは仏教ですよ愛海さん、神事は五穀豊穣を主としていますから、肉や魚のような殺生には捕らわれませんので普通に食べます」
「……なるほど……」
「肉や魚は奉納されますからね、それを大切に頂くのも神主の勤め……ああ、少し難しい話になってしまいました」
「いえ私が聞いたんです
そうですよね、牛1頭とか奉納されるのをテレビとかで見た事があります」
「飼育するか食物にするかは、各神社で違いはありますが、俺は家畜の飼い方は知らないので食物の方」
「………牛を解体するの!?」