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第8章 歩

　「う、うわっ！！歩……この写真」

　「何だよ、人の携帯を勝手に奪って見るのは下品だぞ！」

　「疚しくなければいいじゃん！」

　「そういう問題じゃないだろ！」

　「ごめん。でもさ、この写真……」

　悪びれた顔をしながら、携帯を俺に向けて見せられた写真は……


　「ああ………星空と夏帆さんじゃん」

　「うん。綺麗な親子だなって思って。憧れちゃうな。素敵なママと天使みたいな子って感じでさ」

　その写真を見つけちゃったか……
星空が生まれてから遊びに行った時の写真だ。
夏帆さんが星空を抱いて顔を見合わせて微笑み合う二人を撮った写真。
あんまりにも綺麗な一瞬でつい隠し撮りしちゃったやつ。


　「写真撮るの上手いだろ。
和香奈もこういう写真を撮りなよ。インスタ映えとか言いながら、やたら食べ物屋で写メ撮る女子って、俺は苦手。
食べ物は運ばれてきて美味しいうちに食べてこそだからな」

　「歩のそういうとこ爺臭いけど好き。
だよね。写真にかまけていたら、美味しいものが美味しい瞬間を逃しちゃうもんね。
気をつけよ〜」

　上手く誤魔化せた。

　誤魔化しちゃったのか？

　勝手に見た和香奈も悪い。

　俺には勿体無いくらいイイ女なのにな、和香奈