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第1章 Dear 聡


 お肉大好きな星空は焼きたてのステーキがお気に入りだ。
ナイフで小さく切り分けて星空の口に運ぶと満面の笑みを浮かべて喜んだ。

 「ママ、お肉美味しい!星空いっぱいお代わりするからね!」
ステーキソースを口につけて、お肉を頬張る娘の姿を見ていると私も幸せな気持ちに満たされた。

 「よく噛んでね」

 「うん」

 「星空はママに似て食いしん坊だな〜」

 聡の毒舌にもスルー出来る。

 子は春日井などというが、星空が居なかったら私は耐えられたのだろうか?

 時折、そんな事を考えた。

 一度結婚に失敗していると臆病にもなる。

 いくら世の中にバツイチや再婚者が増えたからといっても、この事をオープンに話すつもりもない。

 人に突っ込んで聞かれるのも嫌だし、そんな事をいちいち宣言する必要もない。

 どんなに取り繕っても、私達は一度は失敗したんだ。

 その事をいつか星空も知る日が来るだろう。

 それでも、そのいつかを出来るだけ先に延ばしたい。

 星空をなるべく傷つけたくない。

 それに歩を子供として受け入れたのだから、世間だって欺くよ。

 血は繋がってないけど、縁があって私の子供になったんだから。

 聡……

 難しいね。

 でも、私はあなたそのものを受け入れたんだよ。

 あなたと死ぬまで一緒に居るって約束したから……

 

 



 
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