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第1章 Dear 聡


 食事が済むと一旦部屋に戻り、まだ寝ない星空のお守りがてらにホテルの寂れたゲームセンターで遊んだ。
聡がゲームのパチンコに夢中になっている間、私は星空と正義の味方の丸い顔の乗り物に乗ったり、ワニが顔を出すとハンマーで叩くゲームをして遊んでいた。
千円両替をしてもアッという間になくなる。

 聡だってたまにはパチンコ屋で思い切り遊びたいだろうに……
私と出会う前は、ストレス解消や寂しさを紛らわす為に生活に支障をきたさない程度で遊んでたって言ってたものね。

 ギャンブルにお金を遣うくらいなら、マンションのローンに回したり、こうして家族サービスする時に大盤振る舞いし、なるべく自分の欲を抑えている聡。

 嫌なところは直ぐ目につくものだが、良いところも沢山あるんだよね、聡は。

 『人間は完璧じゃない。
勿論私も。
凸凹な私達が、パズルのピースのように上手く嵌っているのかもしれないわね』

 星空の手を繋ぎ、子供のように夢中になってパチンコを打つ聡の姿を暫く見ていた。

 まさに水を得た魚

 「星空、まだパパ終わらなそうだから、もう一回ワニさんやろうか?」

 あなたのささやかな楽しみを邪魔したりしないよ。

 星空の誕生日に旅行をプレゼントしてくれたあなたに、私からのささやかなお返しです。
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