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第9章 欲しがりや

俺が和香奈を好きになったのは成り行きだったかもしれない。
和香奈が俺を好きになったのは……寂しい心を埋める為だったと思う。
お互い似た者同士の傷の舐め合いのような恋愛。
それでいて、楽なようでしんどい時もあったりで、肌の温もりを確かめ合う事で探って、面倒臭い感情には蓋をして、お互い必要なんだと思い合いたいのかもしれない。
出会った時は他の男の彼女だった和香奈。
大学の時に知り合った高山光輝(たかやまこうき)の彼女だったんだ。
光輝はよくメンズ雑誌のモデルを真似たお洒落を好んだ。
それが似合っちまう奴だから、女にモテないはずがない。
俺の通っていた大学はバリバリの理系男子ばかりだ。
光輝みたいな奴が稀なくらいで、少し浮いた存在でもあった。
実家は整形外科を営んでるらしく、お金持ちの次男坊で何不自由なく育ち、その気品みたいなもんも備わっている。
モテる男は、それを自覚していて武器にも出来る。
光輝は俺から見ても羨ましいくらいの武器が備わっていた。
そんな奴と友達になると、大概は損するか得をするかの極端な付き合いになる。
俺はそんな光輝に嫉妬しながらも、それを隠して良い奴を演じながら付き合っていた。

