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第9章 欲しがりや

 和香奈とは光輝を介して飯を一緒に食べたり、飲みに行ったり、カラオケしたりと普通に遊ぶ女友達の一人に過ぎなかった。

 たまに光輝に誘われて和香奈抜きで飲みに行くと、和香奈以外の女とイチャイチャし、ほぼ浮気確定の光景を目にする事もあった。

 「和香奈知らないんだろ?」

 「いちいち言う?」

 「悪い奴だな、光輝は」

 「俺、悪い事してないよ。和香奈の事好きだし。
歩はそういうの気にするタイプなんだ?真面目だな」

 「俺の場合、浮気なんて面倒な事が出来ないだけ」

 「歩と俺は違うんだよ。
まださ、一人の女に縛られる事ないでしょ?」

 「それが俺には分からない」

 「性格の違いだ。
俺はまだ誰にも縛られたくないし、一人の女に決めるつもりもない」

 「……だよな」

 光輝の言い分はズルイけど間違いでもない。
まだ一人の女に縛られる事もなければ、結婚しているわけでもないから背徳感も薄れる。

 ましてや、母親が不倫に走って、壊れた家庭で育った自分が人様の恋愛をとやかく言うのもおこがましいのだと考え直した。
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