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第10章 パッション

「じゃあ聞く、光輝のパッションって何だ?」
「俺は何で大学に入ったかといえば、親元を離れて楽しくキャンパスライフを送る為が第一前提だった。
が、別に楽しくしたいならわざわざこんなむさ苦しい男ばっかの理系じゃなく、お洒落な大学に行けばいいだけの話だろ?」
「確かに」
「俺は親父や兄貴が辿った医学の道には不向きだと自覚があった。
親も兄貴が継いでくれれば安泰とばかりに、俺の事は自由にしてくれていた。
親父は兄貴さえ居ればいいんだと捻くれた時期もあった。
だけどさ、そんな親父が俺を褒めてくれた時があったんだ。
『光輝は器用だな』って。
俺、元々はオタクなんだよ。
アニメのロボットが大好きで、小遣い貰うとロボットのプラモデルを買い漁り、それを作って部屋中に飾るような奴でさ」
「今風男子を気取る割には、オタク要素もしっかりあるのは気づいていた。
それに電子回路や機械の仕組みを良く理解していて、組み立てる技術はかなりの腕前だと思うよ」
「だろ。俺にもそんな取り柄があったんだ。今度はプラモデルではない、本物のロボットが作りたいって夢を本気で叶えてみようと思うんだ」
「設計や制作とかに携わる事を視野に入れたら、もっと専門の知識が欲しいとこだよな」
「だ、か、ら、ロボット工学を学べる大学院に進んで、目指せ博士号だよ!」
「大学院に行くのか?」
「うん。そんな目標が出来てからワクワク出来るようになったんだ」
「パッションに辿り着いたわけね?」

