この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
スパイス
第11章 壊れるほどに 奪って

カラオケボックスを出て、二人で夜の街を歩いた。
繁華街の裏の道を行けば、目的の事が出来る場所が建ち並んでいる。
泣き顔を隠すように俯きながら歩く和香奈。
そっと差し出した俺の手をギュッと握る。
無言になりながらも、「本当にいいのかよ?」と俺は最終確認を取る。
「歩さえ良ければ。ほら私の元カレは歩の良く知ってる人だし……」
「拘らないって言ったら、嘘になる」
「拘らないわけないよね…」
「お互い、今日はそんな気分なんじゃない?」
「そんな気分か……」
「そんな日もあるんじゃね?
ぶっちゃけ、俺は何でも恵まれているあいつに嫉妬していた。
嫌いじゃないけどさ、羨ましいって気持ちがいつも付き纏うんだよな。
そんなあいつから……奪えるもんがあるなら奪いたい気持ちもあるよ。
だけど、いくらそんな気持ちがあっても、嫌いな女とは出来ないな」
「あはは。歩は正直だね!
うん。そうね、たまにはそんな日もあるよ。
誰かに抱きしめて欲しい日。
めちゃくちゃ壊して欲しいと……その……なんていうのかな…」
「セックスしたい日あるよな、健康な身体には性欲はあんだもん」
ホテルの入り口まで来たら覚悟が決まって笑っていた。
流されてセックスしたい日もある。

