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第14章 今があるのは

 病院での治療が終わり、薬を貰い、またタクシーで家路へと送ってくれた。

「悪いな。和香奈」

「弱っている時はお互い様。もう寝なさいよ。私はちょっと買い物に行ってくる。
水分と食べやすいもの買ってくるから」

「有難う」

「だ、か、ら、そんなのお互い様だって。
あの時弱っていた私を歩は助けてくれたでしょ。
感謝してるし、好きだから何かしてあげたくなるのよ!
もう〜言わせるな、病人。
大人しくお利口さんに寝てなさいね」

「和香奈……本当に有難う」

「行ってくるね」


 あいつが階段を降りる音が耳に届くと、我慢していた涙が頬を伝う。
嬉しいのと安心したのと楽になったののごっちゃ混ぜの感情が押し寄せて、妙に泣けてきた。
身体も心も弱っていたんだと思う。
そんな時に必要なのは、ばあちゃんでもなく……好きな女なんだと実感した。

 安心して心地良い眠りが誘う。

 もうひとりで頑張らなくていいんだと……
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