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第14章 今があるのは

「もう!!歩の……バカ!!」
そう言って泣きながら抱きついてくる女にまた格好つける。
「風邪伝染るぞ!!」
「伝染していいよ」
「バカ!!お前看護師だろ!!」
「そうだった」
バカだけど可愛いい俺の女
親父が夏帆さんと結婚したいと言い出した時を思い出した。
『まあいいんじゃね』
『歩、俺が胃潰瘍で倒れた時な、家族はみんな心配してくれたけど、万が一死ぬ時に傍にいて欲しいのは、お前でもばあちゃんでもじいちゃんでもなく、妻と呼べる女がいいってしみじみ思った。
まだ死ねない。
そんな女に会わないで死ぬ訳にはいかないって』
『で、夏帆さんに居て欲しいと』
『ああ。夏帆がいいな。
だけど、あいつはかなりの天然だからな、俺がある日寝ている時に死んだとすんじゃん?
気づかないで半日くらい放っておきそうで怖い』
『有り得るね〜夏帆さんなら。たまにはゆっくり寝たいのかも〜とか言いながら、ゆっくりコーヒー飲んでそうなタイプだよね』
『今日は聡君が寝てるから静か〜とか爽快な顔してな』
『分かる、分かる、ゆっくり朝食食べてそう』
『それでもいつかは異変に気づくだろ?』
『まあ、腐る前には気づくだろうね』
『腐る……(笑)だからな、そういう女が欲しいから結婚すんだよ』
その意味が分かったよ、親父。

