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第15章 タイミング

「ばあちゃんの長年の夢が叶うといいな」

「だね。叶だけに叶ったりして(笑)
おばあちゃんは自分の血族からピアニストを育てるの夢だったもんね。
私は才能なかったし、叶に背負って貰うよ」

「俺もだよ。ピアノよりサッカーに走った(笑)」

「歩ちゃんは何でも熟す優等生だから、かなりおばあちゃん期待してたんだけどね」

「今さ、ゲーム会社で働いていて、ゲーム作家と相談しながら、ゲームのプログラミングしてんだけどさ、そこの面接でさ、『君の特技は?』って聞かれたから、サッカーって言うのはありきたりだから、『ピアノが少し弾けます』って言ったらウケてな。
そりゃそうだよな、ガタイが良くて厳ついピアノとは無縁そうな男がバイエルン程度なら弾けますなんてアピールすんだから。
お陰で意外と面白い奴かもと思われて採用さ。
教えてくれたばあちゃんに感謝だな」

「歩ちゃんがピアノ辞めた時、おばあちゃんがっかりしていたもん。
それくらい歩ちゃんは涼子叔母ちゃんに似て才能が…あっ、ごめん。喋りすぎた。
私って昔から一言多いよね。本当にごめん」

「気にすんなよ。別に何とも思わない」

 涼子……俺の母さんの名前。
あまりにも懐かしすぎてイラッとするのも忘れてた。
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