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第15章 タイミング

　葵は頭の良い子だ。
本当は親父の再婚相手や今の暮らしだって探りたいだろうに、敢えて触れない。
和香奈もこれ以上は触れてはいけないと気づいたようで、「葵ちゃんは彼氏は居るの？」と話題を変えた。

「居ないんだよね。だから歩ちゃんや和香奈ちゃんが羨ましい」

「私が男だったら葵ちゃんみたいな子、放っておかない。今時の男子は見る目ないね～」

「妥協しないでじっくり選べばいいさ」

「そうだね。今は仕事が楽しいもん」

　葵は変わってない。
裏表なく優しい子のまんま育って、保育士になる夢も叶えた。
何だかそういうの凄く羨ましいって思うんだ。
俺は少し捻くれて僻みっぽく育っちまったからな……
だからその太陽みたいな笑顔に嫉妬するんだ。
人との出会いはタイミングさ。
タイミング次第なんだよ。