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第17章 世界一の不器用者

「あ、ああ、うんうん。先に家に入ってもいいぞ」

「そうか。ならファミレスの駐車場でな」

「あっ!!星空も歩兄ちゃんとお話したい!!」

「星空がお前と話したいって」

「歩兄ちゃん。あのね、4歳になったの。お誕生日をね、海のホテルに泊まってお祝いしたの」


 後ろは賑やかだ。
私は前を向いて運転に集中しながら、耳に入ってくる会話を聞いていた。
保育園に通うようになってから随分会話が出来るようになった星空。
歩君とは歳の離れた兄妹(きょうだい)
あまり私に似てなくとも、間違いなく私のお腹から生まれ、私の元ですくすくと育ってきた我が子。
それだけで幸せであり、愛しさが自然に湧き上がる。
血の繋がりや深めてきた絆がそう思わせるのかもしれない。

 自立して、もう手を差し伸べる必要もない歩に対しては、星空を想う気持ちに比べると愛情というものが余り感じられず、自分は冷たい人間なのではないかと罪悪感を感じる事さえもある。

「歩兄ちゃんも今度一緒にお泊りしようね」

 本来は私が家族の輪の中に歩を導き、慈しむ気持ちで向かい合えたら……


 いいのにね……
 
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