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第17章 世界一の不器用者
その当時、連日虐待のニュースが世間を騒がしていた。
血の繋がりがあっても親からの虐待にあう子供も居れば、血の繋がりがなく、内縁関係の親から虐待されて死んでいく子供も居る。
実際にあった悲惨な現実の話をメディアから伝えられる度、胸を痛めたりもした。
『私は大丈夫』
そう何度も言い聞かせた。
ましてや聡から聞いていた歩の境遇を思えば、本当の母親にはなれなくても、その傷を少しでも癒せる存在でありたいと思った。
ーー
ー
『夏帆、私の知り合いでもさ、乳児院を見学して養子縁組を考える人も居るけど、私達はそんな事までは考えなかった。
子供が出来ないのは仕方のない運命なんだって、ハルとも何度も話し合って諦めたんだ』
『えっ?まだ諦めなくてもいいんじゃない?』
『不妊治療とかでさ、どちらかに問題があるなんて事も追求もしたくないんだよ。
現に私は病院で検査を受けて問題はなかったの……』
『麗子……』
『ハルが子供を欲しがっているのも知っていて、子供が出来ない原因は自分にあるなんて知ったらさ……
ハルにそんなキツイ現実突きつけたくない。
これでも、精一杯妊活してきたんだよ。
排卵日には必ずエッチして、終わった後に逆立ちなんかもしたりね(笑)』
『……そうだったの』