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第17章 世界一の不器用者

『確かにあの時は麗子にキツく言ったわ。
私にとっては、麗子もハルも大事な友達だから、どっちの味方になるとか肩を持つなんて不公平な事は出来ない。
それにどっちも失いたくない友達よ。
麗子の雇われママやってる店にハルがたまたま遊びに来て、それ以来通うようになって、それが縁で二人は結婚したんだよね。
高校の時はハルの名前は知っていても、友達っていうほど親しいわけじゃなかったし……。
唯一、ハルの家がパン屋だったじゃん。
そこのソーセージパンが美味しかったくらいしか覚えてなかった。
でも、麗子にハル紹介されてから私も仲良くなれたし、ハルを知る事が出来た。
それにハルは麗子の不倫を辞めさせてくれたでしょ。
私、不倫をしていた頃の麗子が大嫌いで軽蔑していた。
ハルは本来の麗子に戻してくれた。
ハルのお陰で私の大好きな麗子が戻ってきた。
ハルには感謝してもしきれない。
ハルと麗子が結婚して、自分の事のように嬉しいよ。
自分は一度結婚に失敗してるからね、ぶっちゃけあんた達に嫉妬もした時期もあった。
真面目に生きてきた私が何で幸せになれないって逆恨みもしたんだ。
でも、それは違うって思い直したの。
過去にいろいろあっても、麗子は未来の選択までは誤らなかった。
キツイ事も言ったけど、ハルと幸せになろうと努力してる麗子を私は責めたりしない。
どうにもならない事まで麗子が背負う必要はないよ』
『……有り難う。夏帆。
気持ちが……楽になるよ』

