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第20章 ドMの和香奈
「俺も初めて好きになった女にこてんぱんに振られたんだわ」
「歩が?」
「そう。その頃、親父達が離婚して母さん家を出ていってさー
家庭が複雑になっちまったから、その分、外に愛情を求めた。
好きな女が出来て、告ってOK貰って毎日がやっとハッピーって思えた。
手を繋いで下校するとか、バレンタインにチョコ貰うとか、たまに部活のない休みの日に映画観たり、パフェなんて食べたり……
そういう純な恋愛に酔えた時期もあったわけよ。
キスするのだって舌を入れる事さえも恥じらう年頃よ?
毎日その女と一緒に居るのは当たり前に感じたくらいのめり込んじまった。
だけど、その女が受験対策の為に通い出した塾で他校の奴を好きになって、俺は呆気なく振られたんだ。
当時は諦めがつかなくて、一歩間違えたらストーカーになるくらいしつこくしちまったみたいでさ、そんな俺にその女が泣きながら言ったんだ。
『私……もう歩とは無理』って。
そう言われちゃうくらい、俺だってプライドへし折れるほど頑張ったんだぜ。
だけど、一旦離れたもんは戻ってこないもんなんだって、つくづく思い知らされた。
後々な、その女がもう処女じゃないって噂で聞いたんだ。
ああ……そういう事か。
だよな。セックスしちゃったんなら、俺の事なんてどうでも良くなるよな。
俺も格好なんてつけないでヤッておけば良かったなーって思ったよ。
俺が初めて心底惚れた恋は見事に砕け散ったわけよ。
だからほんの少しだけ、和香奈の気持ちが分かるんだよな」