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第2章 夏帆

 「皆川さんは映画とか観ますか?」

 「あっ、俺は映画は余り観ませんね。
映画館に余り足を運ばないっていうか、どうしても観たいものはレンタルで済ます派です。
敢えて好きなジャンルを言うならアクション系かな。
子供の頃からジャッキーチェンのファンなんです」

 「へぇ~ 私の父も香港映画が好きでしたので、ジャッキーチェンの映画はテレビでよく見ましたよ」

 暫くママとジャッキーチェンの話で盛り上がって、パパにジャッキーチェンの魅力を語らせてくれたんだ。

 「泉谷さんは映画好きなんですか?」

 「好きですよ。
本当は一人で観に行こうかと思ってましたが、皆川さんがじゃあご一緒しますかって誘ってくれて嬉しかったです」

 「ゴールデンウィークなのに暇してましたし、データマッチングで泉谷さんを紹介して頂いて、趣味の欄を見たら映画鑑賞と書いてあったもんですから……迷惑じゃなかったですか?」

 「とんでもないです。
私の趣味に合わせて頂き、有難う御座います」

 ママは天然ちゃんなんだけど、ちゃんと丁寧な会話も出来る人だった。

 たださ、堅苦しい話はお互い続かないんだよな……
苗字で呼ぶのも段々もどかしくなってきてさ、映画が始まる頃には、聡君、夏帆ちゃんなんて呼び合っていたんだ。

 でもパパは心の中で、天然夏帆ちゃんって呼んでたりしてな(笑)
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