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第2章 夏帆

 映画館で隣に座る頃にはお互い緊張も解けていた。
ママの髪の毛からシャンプーのいい香りがしてさ、そういうの男はドキドキするもんなんだ。

 それと、映画が始まる前にママがバッグから眼鏡を取り出したんだ。
「私、視力余り良くないんですよ」なんて言いながら、赤ぶちの眼鏡をかけたんだ。
またパパは不思議な発見をした。
さっきまで天然夏帆ちゃんが知的夏帆ちゃんに変身しちゃうんだから……
眼鏡女子の魅力的な子っているんだけどさ、まさにママがそれなんだ。
ママに限り、このギャップが計算じゃないのも分かる。

 男ってさ、そういうギャップに弱い生き物なわけよ、星空ちゃん。

 君もママのそういう遺伝子受け継いでいたらヤバイよ(笑)
でも、君は当分お嫁にやらないから!

 パパの可愛い星空だからさ!

 俺は星空の小さな手を握った。
誰にも奪われたくない幸せな時間をこの子と共有するかのように、小さくて温かい幸せの象徴を掌に包んだ。

 天使だな お前も
 
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