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第2章 夏帆

 ごめんね、星空
ママと比べているわけじゃないんだ。
ママと出会って星空がいる

 ただね、過去もあるから、星空には歩兄ちゃんが居るんだよ。
歳の離れた兄妹かもしれないけど、星空を大事にしてくれる頼もしい兄ちゃんだから安心して大きくなれよ。


 ねぇ、星空

 楽しい時間って言うのはあっという間に過ぎるんだよな。
ママとの初デートはさ、終電間近まで居酒屋で過ごして、お互い酔っ払って駅まで歩いて、それでもまだママと離れたくなくてさ……
パパはママと反対側のホームに行かなきゃいけないのにバイバイするのが寂しくなった。

 「夏帆ちゃん、家まで送らせて」

 「でも……」

 そう言いながらも、ママも寂しそうな顔でパパの目を見ていた。

 「安心して。
ちゃんと駅に着いたらタクシーで送る。
変な事はしない。
折角夏帆ちゃんと仲良くなれたのに嫌われたくないから」

 パパはシャイなんだ。
ギラギラしたオオカミさんじゃない。
そうなりたいけど嫌われたくない。

 「聡君、優しいね。
お金大丈夫?」

 そっちの心配か!
この憎めない天然ちゃんが!!

 「一人は寂し過ぎてたまにパチンコするんです。
昨日も息抜き兼ねてやったら大勝ちしましてね、夏帆ちゃんをタクシーで送るお金くらいどうって事ないくらいバブリーなんです!」

 「じゃあ、バブリー聡君に甘えちゃいます〜」

 そう言って笑うママは、世界一可愛い女だと思ってしまったんだな……


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