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第4章 時には猛烈に

 展望台を上ると、目の前に太平洋が一面に広がっていた。

 「綺麗な眺めだわ。
日常を忘れちゃうくらい素敵な景色」

 「この景色を夏帆ちゃんに見せたくてさ」

 「嫌な事も波の音が掻き消してくれるくらい心が和むね」

 「いろんな嫌な事は海に置いていけばいいよ」

 「聡君と出会ってからは毎日楽しいよ」

 「夏帆ちゃん……俺もよ」

 いよいよ キス…………

 「ねえ!見て!トンビ〜 トンビが飛んでるぅ〜」

 「と、飛んでるね」

 今は……トンビより甘いムードだろ!

 「穏やかだね」

 ちっとも穏やかじゃねーよ!

 「夏帆ちゃん……」

 俺は夏帆ちゃんの手を握りしめて呼吸を整えた。

 「なあ…に……」

 夏帆ちゃんを引き寄せて人目を盗んで不意打ちのキス

 目、閉じろ!

 キスしてんのに目が合うって!!

 チョコレートの甘い香りが仄かに漂うキス

 そして、唇を離すと夏帆ちゃんは……




 「聡君とバードキスしちゃったね」

 そう言って微笑んだ。

 「バードキス?」

 まさかトンビに例えてんのか?

 「あっ、バードキスはね、軽く触れるキスの事だよ。
よくフレンチキスとか言う人いるけどあれ間違い。
フレンチキスってね、実はハードなキスの事なんだよ!
フレンチキスはディープキスだからね!」

 天然さんよ、今そんなうんちく必要か?

 俺は笑った。

 笑うしかないだろ!

 こんなキス初めてだ!

 照れ隠しだ!

 あほんだら!


 「ドキっとしちゃった」

 そう言った夏帆ちゃんを引き寄せて抱きしめるしかないだろ!

 「好きだよ。夏帆ちゃん……」
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