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第1章 Dear 聡

 「ほらママも早く来いよ!本当にママはのろまだね」

 「ママ〜早くするでしゅ」

 『私は妻であり母である。
私が我慢して聡より少し大人になればいいだけの話だ』

 そう何度も自分に言い聞かせていた。
私が聡に対してつい我慢をしてしまうのも、自分に自信がないというのが大きな要因でもあった。

 妊娠中は一時的に体がふくよかになるが、出産すると大半の人は元の体型に戻る。
体型は星空を産んでから4年経った今でも戻りきれてなかった。

 お腹についたひと握りの脂肪
 垂れ下がった尻
 授乳が終わって萎んでしまった胸

 ルックスの良い聡と一緒に居ると引け目を感じてしまう。
思った事をそのまんま口にする聡は、私を容赦がなく傷つけた。

 「ママ、背筋をピンと伸ばして歩けよ!
ババ臭いな〜それに少しガニ股なんじゃない?
年取ってから星空を産んだんだからさ〜
若さくらい保たないと星空が可哀想よ?」

 聡はまた私の地雷を踏む。


 『うるせーんだよ、聡!!
お前何様なんだよ!!
人の事を非難ばかりしやがって!!
そんなお前は完璧なのか?
脱いだ靴下はそのまんま、酔っ払うとタチ悪いし、会社や上司の愚痴を女々しく私の前では言う癖に未だ改善出来ずの堂々巡りじゃねーか!!
思った事が言えず、外面はいいんだよな?
お前は二重人格か!!
お前だって欠点探せばきりがないんだよ!!
寧ろ、そのルックスだけが唯一の救いなんじゃね?
可哀想な奴だな、聡は!!』

 心の毒は溜まる一方だった。
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