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ベストパートナー
第1章 アキ
 俺は頷く。
 本来ならベストを目指したいが、そうは簡単にはいかないだろう。
 これからは旦那を牽制し、表向きは笑顔でいなければいけない。好き嫌いのレベルではなく、生活するための機械と思うことを俺はアキに言い聞かす。


 機械……か。


 俺の心に何故か深く刺さる。
 しかし、結局は俺もこの方法しかないと悟った。


「なるほどです。このまま、演じるんですね」


 アキが煙草を掴み、火を点ける。深く煙を吸い込み、一気に吐いた。俺はその姿を黙って見ていた。
 どこかやるせないく、どうにもならない苛立ちがある。
 何だか情けなくなった。
 気の利いた一言が、浮かばない。


 静かな時間が続く。
 アキと俺は視線を合わすことなく、顔が下がる。
 気の利いた言葉を探せないことへの、情けなさが胸に溢れ唇を噛みしめながら彼女の吐く煙草の匂いが鼻腔を擽る。


「ありがとう」


 アキが不意に言った。
 顔には笑顔がある。


「こんなことテルさんに解答を聞いても、わかるはずありません。全ては私次第ですから」


 その通りだ。
 しかし……何だか申し訳ない。


「また、誘って下さい。今日は楽しかったから」


 俺は顔が上がる。
 どうしようもない男だ。
 豊満な体を弄べることが、この先もあることへの喜びに肉棒も反応を示す。
 性欲だけは、説得力があった。


「あっ! いやオチンチンが動いたような」


 アキが目を擦る。灰皿には吸いかけの煙草が、天井を目がけて白い線を伸ばしていた。


 そうか、次もあるのか……うん。
 
 
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