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乳房星(たらちねぼし)・再々修正版
第7章 春遠からじ
シーンは、みにくいあひるの子の童話の世界に変わる。

自分のことを愛してくださるメスのあひるさんをさがす旅を続けているみにくいあひるの子は、ひとりぼっちで月明かりが灯る夜の道をトボトボと歩いていました。

そんな時でありましたが、道ばたに立っている大きな木に止まっているふくろうのおじいさんがみにくいあひるの子に声をかけました。

「おい、お前はどこへ行こうとしているのだ…」
「ぼくは、ぼくのことを心のそこから愛してくださるメスのあひるさんをさがしているけれど、どこへ行っても『ごめんね』ってばかり言うて突き放されてばかりなんだよ…」

みにくいあひるの子が言うた言葉に対して、ふくろうのおじいさんはこう言いました。

「そうか…どこを探しても、お前のことを愛してくださるメスのあひるさんはいないのか…と言うよりも…ここの集落は、親が結婚相手を決めることになっているから、お前のことを愛してくださるメスのあひるさんなんかはいないのじゃ…あきらめろ…」
「そんな…それじゃあ、ぼくはどこへ行けばいいのだよ…」
「そうじゃな…」

ふくろうのおじいさんは、小首を少しかしげてからみにくいあひるの子にこう言いました。

「お前のほしいメスのあひるさんは…うーんと北の方にいる…うーんと北の方に行けば、お前と同じ仲間の鳥に出会える…」

うーんと北の方に行け…

今のぼくの気持ちは、そこまで歩いて行く体力も気力もないのだよ…

うーんと北の方って、ふくろうのおじいさんがいうていたけど…

そんなアイマイな形で教えられたから…

メスのあひるさんをさがすことをあきらめよう…
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