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第1章 第一印象は笑顔

　駐車場に停めた営業車に乗るなり、陣川さんは「ごめん」と謝ってきた。「こちらこそ、すみませんでした！」と頭を下げ返す。いつもの彼に戻った。それが何故か嬉しく思えた。

「あんな言い方してごめん。けど──園田さんには気をつけろよ」
「どうしてですか？」
「みんな、あの人の餌食になってるから。他所の会社の女性社員、高確率で退職に追いやられてる」
「……え？」

　「煙草いい？」と断りを入れてから、陣川さんは煙草に火をつけ、白い煙を吐き出した。

「うちも過去に二人食われてるから」
「……そうだったんですね」
「何があっても、あの人と二人きりになるな。ここに来るときは絶対俺と二人な。社内でも絶対に俺の側を離れるなよ」


　【絶対俺と二人な。俺の側を離れるなよ】まじまじと見つめられ、顔が熱を帯びていく。仕事の話だと分かっていても陣川さんのルックスで、こんな言葉を投げ掛けられては乙女心が素直に反応してしまう。

「聞いてんのか？　返事は？」
「は、はいっ！」
「うっし！　約束通り、飯行くぞ！」

　太陽に向かって咲くひまわりのような素敵な笑顔。まだ私の胸はドキドキと高鳴っていた。