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Seven
第2章 ロマンチスト
「──あぁ。分かった」
陣川さんと営業に出掛けると、高確率で彼は誰かと電話をしている。取引先の方の時もあるけど、今みたいにラフな話し方で話している時もある。
「ごめんね、暇だったでしょ?」電話を終えた陣川さんが申し訳なさそうに微笑んだ。
「いえ!」
「……西宮さんは真面目だね」
「そう、ですか?」
「うん。真面目ないい子」
大人になってから褒められることが減って褒められ慣れていないからか、「真面目ないい子」と言われ、なんだか照れくさい。
「なーに照れてんだよ」
「て、照れてないです!」
「本当、西宮さんて可愛いね。嘘つけないタイプでしょ?」
可愛い……? 私が? 唐突な彼の発言に惑わされてばかり。ストレートな言葉で人を褒めることができて凄いと感心する一方で、心臓が「キャー!」と黄色い歓声をあげてしまう。上司にときめいて、どうする! 仕事中なのに……。
「……顔に出るって、よく言われます」
「というか、態度に出るよね。見てて飽きない」
「……からかってます?」
「さぁー、どうだろうねー」
少年の笑みを浮かべ、煙草を吸う七歳年上の陣川さん。きっと彼は【子供のまま大人になった】のだろう。