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Seven
第2章 ロマンチスト

「だから、特定の人とは付き合えないんだよね」
「どうしてですか?」
「天気がいい日は、大体山に籠るから。会いたいって言われても会えないし、約束してても星を撮ることを優先するから」
「……そんなに星が好きなんですね」
「うん。男のロマンってやつ?」

 そう言って笑う彼は男らしくて素敵だと思った。執着する人よりも開放的な人のほうがいい。いくら恋人とは言え、自分の時間は確率していたい。

「束縛する人より全然いいと思います!」
「お! 分かってくれる?」
「はい。恋人とは言っても、ずっと一緒だと疲れちゃいますし」
「そうなんだよ! 話がわかるね、西宮さん!」

 差し出された彼の左手を右手で握手した。スポーツ選手同士の挨拶みたい。満足そうに陣川さんは頬を緩ませている。

「世の中には西宮さんみたいな子もいるんだね。やっぱ、年齢じゃないよなー。しっかりしてる若い子もいれば、話が通じない頭の固い年配者もいるし。──いいと思うよ。西宮さんのこと」

 心臓が跳ねた。軽い音を立てて。こんな感覚は、久々。忘れかけていた、あの感じ──これって、まさか【恋】?

「ん? 俺に惚れた?」
「な、何言ってるんですか!」
「うちの会社、社内恋愛禁止じゃないから別に大丈夫だよ」
「……もう」

 どうしよう……。もし、この弾む鼓動音が【恋】だとしたら──そう思ったら、急に陣川さんとの距離の近さが気になってきた。拳一個分しかない運転席と助手席との間。意識しないようにしなくちゃ!と思えば思うほど、考えてしまう。

 好きになっちゃったのかな……。



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