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Seven
第4章 恋の連鎖が止まらない
「この曲好きなんだよね」
「そう、なんですか」
「いい歌じゃない? ストレートに思いを伝えてて」
「それと、この曲も」続けて違う曲を流し始めた。話題になった男性目線のラブソングだ。【ずっと僕だけを考えていてほしい】こんな風に誰かに思われたら幸せだろうな……。
「いい歌……」
呟きに対して返事は来なかったけど、代わりに隣から視線が返ってきた。無言で私を見つめる雪さん。ドラマでよくあるワンシーンみたい。
そっと伸びてきた手。──これは、もしや……
「髪の毛にゴミ付いてる」
「へ?」
「身だしなみ、しっかりな」
「は、はい……」
期待した私が馬鹿だった。こんな真っ昼間の、それも仕事で使用している営業車の中。キスに至るはずがない。指摘されたように、身だしなみに気をつけないと。邪念を振り払うように顔に両手を当てた。
「なに? 火照っちゃった?」
「そんなわけないじゃないですか!!」
「チェッ……つまんねーの」
「もう! 人で遊ぶのやめてくださいよ!」
「いいじゃん! 西宮さん、素直で可愛いんだもん。つい、からかいたくなるんだよねー。──俺、Sだから」
意地悪な笑い方をした雪さんにドキッとした。元々、雪さんは声が低い。ゆっくり話す時や、間を空けて話す時は更に低くなる。鼓膜が震え、耳の奥まで広がっていく雪さんの声。ゾクゾクしてしまう……。
「西宮さんは、完全にM──いや、ドMだな」
「ち、違……わないですけど」
「否定しねーのかよ!」楽しそうに笑う雪さん。この顔を見ると、私まで楽しくなって自然と頬が緩む。