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Seven
第4章 恋の連鎖が止まらない
「あ、悪い。コンビニ寄るから好きな飲み物買ってきていいよ」
誰かからの着信。いつもと違う雪さんの対応。千円札を渡され、私はコンビニの店内へと向かった。微かに写った視界の端。にこやかに誰かと電話をする雪さんの姿が見えた。浮かれていた気持ちは一気に圧縮され、ぺしゃんこに潰れた。
彼の電話が終わるまで店内を見て回ろう。季節限定商品をチェックするのも楽しい。季節によって様々な味のお菓子やスイーツが販売されている。商品開発に携わった方達の努力の結晶。次々と新商品を生み出せる彼らは天才だと思う。
一通り商品も見終え、雑誌コーナーへと移動し、大して興味もないファッション雑誌を手に取った。──まだ雪さんは通話中。デートの約束でもしているのかな……。
突然、私の右肩に誰かの手が触れた。びっくりして体が強張る。こんなところで、一体誰?
「お疲れさまです」
「小林さん!?」
肩を叩いた意外な人物に 二度も驚かされた。「いかにも私ですけど」と小林さんは真面目な顔。冗談なのか素で言っているのか分からない。最近知ったのだが、彼と私は同い年だそうだ。小林さんのほうが私よりも大人の風格がある。入社して三年目になる彼は頼りになる存在で、部署内では【ホープ】と呼ばれている。
「小林さんも営業ですか?」
「いえ。今日は、日頃からお世話になっている会社関係に挨拶回りに」
言われてみれば、いつも小林さんと一緒に行動している栗木さんの姿が見当たらない。
「あれ? 雪さんは?」
「今、電話中で……」
「そうなんですね。──《彼女》さんからかな」
「彼女!?」思わず叫んでしまった。本人はいないと言っていた存在を小林さんは当然のように口にした。