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Seven
第4章 恋の連鎖が止まらない
殴るふりをした雪さんのスーツの袂が揺れ、筋張った手首が見え隠れしている。細いけれど男性らしい腕。筋肉質で細身の男性が好きな私にとって、雪さんは完全にストライク。おまけに、顔もカッコイイ……。
「なに俺に見とれてんだよ」
「え!?」
また心を読まれた?と不安になっていたら、「あー……違かった?」と少し寂しそうに彼は笑った。気持ちが通じているような、通じていないような──ぴたりと考えや気持ちが重なった時はドキドキするけれど、今のようにズレた後は気まずい空気が広がってしまう。
なんとかしなくちゃ!と話題を振ってみるけど、返って来る応えはどこか上の空。
私が一方的に雪さんに思いを寄せているだけ。彼は女性に対して自然とやさしくできる人。誰か一人を特別扱いしているわけじゃない。そう分かっていても、彼と過ごす時間が増えていけばいくほど、やさしさに触れる機会も当然多くなる。その度、一喜一憂を繰り返す。気づかれたくないけど、ほんの数ミリでも私の気持ちに気づいてくれたら……なんて都合のいいことを考えてしまう。
こういうことを考えるときに限って、彼はいつも意味深な質問を投げかけてくる。
「深雪ちゃんは、俺と兄貴──どっちが好み?」