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咲の旅物語
第13章 滝壺の竜宮城
精神の中は粘着質などす黒い空気に覆われていた。
肌に張り付くような視線もあちこちから感じられる。
「相当、入り込まれているな。」
ディラは、更に奥へと進んだ。
どす黒い景色が続いているが、先の方に浮き上がるように赤い点が見えた。
近づいてみると、全身を赤い何かに捕らわれている男がいた。
背後に何もないにも関わらず、キリスト像の様に張り付けられて、頭をもたげさせている。
「親父殿か…。」
ディラが声を出すと、男ではなく赤い何かが首を上げるように端を持ち上げる。