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咲の旅物語
第14章 死の洞窟
一度この洞窟で恐怖を味わったジャルムは、口を開けたまま呆けていた。
咲は大人しく拐われていたが、不意に強い悪寒を感じ魔力を解放する。
『いやぁっっ!』
辺りが白く光ると、ディラと咲を捕らえていたものが音もなく消滅した。
『光の最上級はやり過ぎだ…。』
ため息をつくと、咲を見る。
『だだだだだってぇ~』
涙目でディラにすがり付きながら、前方を見た。
『…おぅ』
咲の視線の先には、真っ暗にも関わらずぼんやりと何者かの輪郭が浮き出ていた。
女性らしき白い服を纏った影が微動だにせず佇んでいる。
恐る恐る近づいていくと、ソレはゆっくり此方を向いた。
―肉をくれるかえ?―
男性とも女性とも言えない声が、洞窟内に響く。
『きゃあああぁぁぁぁ!!!浄化!!浄化!!浄化!!浄化ああああぁ!!』
咲は、あまりの気持ち悪さに魔法を連発した。