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咲の旅物語
第15章 チガヤの呪い
洞窟の入口に祠を作った咲たちは、一端泉の畔に戻っていた。
「私たちはこれから王都に向かいます。ジャルムさんはどうします?」
咲の声に顔を上げたシャルムはまだ、落ち込んでいる様子だが何かを決意した目を向けた。
「わたしはララベ達、被害にあった女性達の供養をして生きていきます。祠を守る。」
光を取り戻した強い眼差しに咲はジャルムも旅に誘おうと思っていたが諦めた。
「よし、私たちがサポートしますよ。」
ジャルムの肩に手を置いて、優しく援助を申し入れてくれたのは、畔に集まった魚人たち。
「いいかもしれませんね。自然に守人が集まれば、村になるし、不可視の魔法をかけなくても里に侵略されなくなるわ。いっそ人界との接点になって頂ければ、わたくしたちも何かと助かります。」
ピギョも乗り気だ。
「ありがとうございます。」
「さ、決まったところでサクッとやっちゃいますか。」
咲は膝を叩いて、立ち上がり畔から祠の方向を向いて手を合わせる。
「何をやるの?」
ティナが不思議そうに見ると、咲はニコッと微笑み合わせた手をパンッと叩いた。
すると、生い茂った木々がザザッと左右に別れ人一人が通れる程の道が出来た。
祠の回りにも木々がなくなり、近くに小さな家もある。
「取りあえず、私が出来る事はここまで。一応、邪な心をもった者が侵入出来ない様に魔方陣を敷いたわ。」
「相変わらず…」
「すごいわね…」
ダイゴとヘラが呆れて、首を振っている。