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咲の旅物語
第8章 獣人の里 ピッケ
ダイゴの後に続き中に入ると、そこは広い部屋になっていた。
木の上だというのに、部屋の真ん中に囲炉裏がある。

「戻りました。」

ダイゴが声をかけると、囲炉裏の奥で一人の獣人が顔を上げた。

「ご苦労様」

「かわ…ムグ」

咲の声を聞くやいなや、ディラが咲を捕まえる。

「止めておけ…」

呆れ顔で首をふり、ダイゴへ合図をする。

二人は咲は可愛いものには、どんな状況だろうと飛び付くクセがあるのを知っていた。

ダイゴが中に入る前に緊張したのは咲のクセのせいだった。

顔を上げた獣人は、猫ミミの幼女だった。
いや、幼女に見えるだけで本当は立派な大人だ。

ディラが押さえてくれたので、ホッとした様子で長へ向き合う。

「ダイゴ、報告は受けていましよ。この方達が例の?」

「はい。」

「そうでしか、皆さん。里を救っていただきありがとうございまし。
まぁ座って下さいでし。」

そう言うと頭を深々さげ、咲たちに囲炉裏へ誘う。


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