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第28章 choice A 遭遇

「あっ、ゴメン。お客さんから電話入ってた。急ぎかもだから、掛けなおしてきていい？」

「うん、私もその間にトイレ行ってくるからゆっくりで大丈夫だよ。」

「ありがと。」

トイレを終えて席へ戻ろうと廊下を歩いていた所で、

「・・・文?」

呼ばれた声に振り向くと、そこには思ってもみなかった悠くんの姿があった。
気まずくて思わず目をそらしてしまう。

「・・・ごめんなさい、メール返してなくて。」

「そりゃ返しずらいよな。」

優しく微笑み、気にするなとでも言うように頭をポンポンと撫でる彼。

「1、2分だけ店の外で話せる？」

進みたいなら、はっきり伝えないといけない。そう思って着いていった。

「仕事関係で来てるんだ。文は・・・こないだ言ってた奴ときてるの？」

嘘をついても仕方ないと思って頷く。

「そっか、意地悪な事聞いてごめん。この店、文好きそう。そいつ、ちゃんと文の事、大切に思ってるんだろうな。」

「…そう感じる。」

「そうか―――俺だって…。」

ギュッ、突然腕を引かれて、悠くんの大きな胸の中に閉じ込められた。

「後悔ばっかしてる、何で文からの好きに言葉で答えなかったんだって。待っててくれるの当たり前過ぎて、いなくなるって考えもしなかった。…頼むから戻ってきてよ。お前いないとやっぱダメだわ。」

あんなに大好きだった彼、欲しかった言葉、だけど・・・

「…出来ない。やっぱりもう会えない。私、もう悠くんの事、傷つける事しか出来ない。本当にごめんなさい。」

あぁ…ダメ、今日は絶対泣いちゃダメ…。

「文さん!」