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大人遊び
第28章 choice A 遭遇
彼が連れて来てくれたのは、東京駅からほど近い商業ビルに入ったお店。
自動ドアを抜けて中へ入ると、きっと人気店なんだろう混雑していて、だけど落ち着いた雰囲気で、ゆったりとした大人の時間が過ごせそうな心地良い空間だった。

「何飲む?」

「最初はビールにしようかな。啓介さんは?」

「俺も。」

ちょうどおしぼりを持ってきてくれた店員さんに注文を終えた彼は、

「前にお客さんに連れられてきたんだけど、料理が美味しかったんだよね。日本酒も揃ってるから後で呑もうよ。好きでしょ?」

とメニューを手渡してくれる。

「うん、好き。本当、どれも美味しそう~♪迷っちゃうね。」

「俺は、う巻きと季節の天ぷら盛り合わせ食べたい。」

「いいね、私は・・・ホタルイカの沖漬けといぶりがっこチーズと、後、この牛タンの朴葉焼きってのも気になるなぁ。」

「チョイスが酒飲み(笑)」

「ちょっと、ひどい―!!」

「ハハ、せっかくだから全部頼もうよ。全然食べれるから。」

何でだろう。やっぱり啓介さんといると、素直に感情が出せる。

「じゃぁ、改めまして、文さん、今週もお疲れ様でした。」

「はい、啓介さんも、お疲れ様でした、乾杯。」

グラスを寄せ合った後は、くだらない話で笑いあって、美味しいご飯を食べて、美味しいお酒を飲む。

「ん~コレ美味しい!!」

「俺、その美味しいもの食べてる時の顔、本当好き。」 

「食いしん坊って言いたいんでしょ。」

「ううん、可愛い。」

意地悪なんだけど、優しくて、たまにドキっとさせる。
啓介さんはそんな人だ。楽しい時間はあっという間に過ぎていった。
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