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第16章 choice A 君の想い －純心ー

突然、引き寄せられ、彼の胸元に顔を埋めたと思いきや、そのまま強く抱き締められた。

「・・・好きだ。」

混乱する私の頭。

「何考えてるかわからないって・・・どうしたら俺を好きになってくれるのかって事ばっか考えるよ。」

私を抱き締める腕に更に力がこもる。

「今日だって、あなたと来るために柄にもない事して・・・。俺の隣で笑ってくれる文さんをどんどん好きになっていくのに・・・せっかく隣にいるのに、手も握れないし、キスも出来ない・・・ズルいよ。」

そういって彼の右手が頬に添えられる。

「・・・離して。何もしないって約束した・・・。あの日、たまたまエッチしただけで・・・そんな事、突然言われてもどうしたらいいかわからないよ。」

彼の瞳が哀しそうに揺れる。

「・・・ごめん。こんな顔させたかったわけじゃないんだ・・・帰ろう。」

沈黙のまま、しばらく車を走らせる彼。

「ねぇ、啓介さん・・・前に私の事、あの日の前から知ってたって言ったよね。どういうこと？・・・聞きたい。」

私の問いかけに、彼がポツリポツリと事の真相を話し出した。

「・・・会う度に好きが増えていくんだ。本当馬鹿みたいだけど、あなたばかりを探してた。結果的には騙すような事になっちゃったけど、でも、本当に軽い気持ちじゃなかったんだ。」

私は彼を誤解していた。あの夜も、あの時も、そして今日も、私を大切にしてくれていたという彼の想いが一気に伝わってきて、言いようも無い気持ちが溢れ出す。